ももクロ長続きのヒント 高城れに、江戸切子に見る ももクロVS伝統工芸/高城れに、「江戸切子」に挑戦(2)

江東区亀戸にある「根本硝子工芸」さんで、江戸切子に挑戦中です!

「わあ、やっちまった」──工房に響き渡る高城れにさんの悲鳴。彼女が挑んでいるのは、東京の伝統工芸「江戸切子」です。いつも物事をネガティブに考えてしまいがちな高城さんが、まばたきするのも忘れて、紫のグラスに、江戸切子の伝統的な文様である「菊繋(つな)ぎ文」を刻みます。さてその出来栄えは?

■「縦と斜めの線を組み合わせると菊に見えるって、昔の人、すごすぎない?」

 東京の伝統工芸である江戸切子に挑戦中の高城れにさん。前回(「粉々にならない? ももクロ・高城れにが挑む江戸切子」)は、しずく型のくぼみをおっかなびっくり削りました。始める前は「悲惨なことになりそう」と心配していた高城さんですが、指導してくれる根本幹大(みきひろ)さんに意外にも(?)「筋がいい」と褒められました。

 しかし、今回はさらに難易度が上がります。江戸切子の伝統的な柄の一つ「菊繋(つな)ぎ文」に挑戦するのです。細かな線が重なって作られた複雑なデザイン。さすがにすべてを高城さんが作るのは難しいので、最初に高城さんが線を引き、それを幹大さんに完成してもらいます。

今回挑戦するのは江戸切子の代表的な文様である「菊繋(つな)ぎ文」。ガラスに描かれたマスを直線でつないでいくことで菊の花のような模様ができあがります

 まず幹大さんが、どのように線を引くかを実演を交えながら説明します。

根本幹大さん 今からやってもらうのは「菊繋(つな)ぎ文」といって、菊の花がつながっているように見える文様の1つ。

高城れにさん え、どうやって作るんですか? 細かな柄で難しそう(汗)

幹大さん 江戸切子のほとんどの文様は最初に縦と横の線を引いて升を作って、その頂点を結んでいくことで形にしていくんです。

 何本もの線が重なっているので、ぱっと見ただけではわかりにくいだろうと、幹大さんはイラストを描きながらていねいに教えてくれます。

「斜めに引くのが難しい」と実際にイラストで説明をしてくれる幹大さん

高城さん なるほど、縦の線と斜めの線を組み合わせていくと菊に見えるんですね! 昔の人ってすごすぎない?

 前回のくぼみを削る作業と比べると、今回はより細やかさと正確さが求められます。果たして思い通りにほれるのでしょうか。

幹大さん 全部を引くのは難しいですから、今回は対角線を引いてもらいましょう。ただ今回削るグラスの上のほうは、前回のしずくの部分よりずっと薄い。入れすぎると突き抜けちゃうこともあるから、力の入れ具合に気をつけて。

高城さん そうなんですね。今度こそ粉々になっちゃうかもしれない(不安そうに)。怖いけど、精いっぱいがんばるぞ。

「今度こそ粉々になっちゃうかもしれないけど、がんばるぞ!」

■「直線を掘りたいのに思うようにいかない」

 作業台に座ったとたん、笑顔からきりりと引き締まった表情になる高城さん。ダイヤモンドカッターが回り始めます。が、どうやらうまく削れない様子。

グラス自体もななめにするが、どこに線が引かれているか分かりづらい

高城さん 直線を掘りたいのに、思うように真っすぐ削れない。

幹大さん 頂点と頂点を結んでまっすぐになるように。

縦線と横線の交わるところに線を引くのがむずかしい

 自分の手の中にあるグラスを凝視して作業を進めていく高城さんを見て、周囲のスタッフも思わず力が入ってきます。そこに突如、響く叫び声が──

高城さん わあ、やっちまった!

 どうやら線と線が交わる部分がずれてしまったようです。

幹大さん 少しでもずれると柄の調和が取れなくなるから難しいんですよ。僕も習得するまで1年くらいはかかりましたから。

 そう励まされて、再び挑戦する高城さん。悪戦苦闘の様子、写真と動画で確認してください。

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 真剣なまなざしで作業に没頭する高城さん。なんとか2カ所に基本となる線を引き終えました。グラスを確認する幹大さんを、高城さんは不安そうに見つめます。さて出来栄えは?

真剣なまなざしで作業していますが、出来栄えは?

■夢中になりすぎてまばたきするのを忘れちゃった

幹大さん 全然きれいだと思う。最初だけだからずれているのは。後はきれいにできている。

高城さん 本当ですか。

 これが高城さんが作業を終えたグラスです。

これが作業後のグラスです。なかなかいい感じ。プロが見ると微妙にずれているところがあるそうですが……

 線を削る前と並べてみましょう。少し線が太かったり、ずれてしまったりしたところもありますが、今回も周囲の予想を上回る出来栄えです(高城さん、ゴメンなさい)。あとは幹大さんに完成してもらいます。

曲面に直線を引くのは難しい作業だそうです

高城さん こんな細かい作業を続けるのは本当にすごいと思います。もともと難しいとは思っていたけど、やるともっと難しかった。

 何が難しかったのでしょうか?

高城さん バランス感覚。均等にならないというか、自分の思っているようにできないのが難しかった。

幹大さん でも飲み込みが早くてびっくりしました。実はいろいろなところで江戸切子体験をやるのですが、そこでは平皿を使うんです。平らだから簡単なんですよ。グラスは曲線上に掘らなきゃならないから、すごい難易度が高い。それを物おじせずにやっちゃうのがすごいなって。

高城さん あんまり夢中になりすぎて、まばたきするのを忘れちゃうからコンタクトはダメだと思いました(笑)。

「ここを私が引きました」と満足げな高城さん

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 2人の作業を見守っていた幹大さんの父、達也さんも「初めての人が、くぼみを削るのだって、まずできないんです」といいます。

達也さん 曲面に曲線を削るのはそれだけ難しいんです。今回使ったグラスは色ガラスで見えにくいし、初心者にしては、れにちゃんは優秀な生徒さんだと思いますね。

■古いものも守り、新しいものも作り出す

 今回、高城さんが挑戦した江戸切子は「しずく」と呼ばれる作品。曲線と直線を組み合わせたエレガントなデザインで人気の、根本硝子工芸のロングセラー商品です。考案したのは達也さん。実は達也さんの父であり、根本硝子工房を57年前に立ち上げた根本幸雄さんが考案した江戸切子「飛翔」も、現在も作り続けています。

高城さん 今も先代が作り上げたデザインを彫っているんですね。

達也さん もちろん大事な財産ですから。でも、それだけじゃなくて、自分でも常に新しいデザインを考えるし、息子も新しいものを考えていく。伝統的な柄や技術を生かしながら、今の時代に合うものを新しく生み出すように心がけています。

高城さん それが長く続けていく秘訣なんですね。

 実はももいろクローバーZが目指しているのも、長く続けられる女性アイドルグループです。「引退」や「卒業」が当たり前だと思われている女性アイドルを長く続けるにはどうすればいいか。前例のないことだけに難しい挑戦ですが、こういった世界にもヒントが隠れているのかもしれません。

◇ ◇ ◇

 無事体験を終えた高城さん。次回は同じ平成生まれで体験日の前日に28歳になったばかりの幹大さんと仕事や将来について話し合います。思いがけない本音が飛び出すかもしれないので、お楽しみに。

 最後に、高城さんからの江戸切子クイズでお別れです。

「気の遠くなるような手間がかかったこのツボ、お値段はいくらでしょうか? ヒント、私は値段を聞いて怖くなって持つのをやめました(笑)」

「値段を聞いて持つのをやめました(笑)」

 答えは次回にお教えします。

【連載】ももいろトラディショナル/ももクロVS伝統工芸
【第3シーズン】高城れにVS江戸切子(東京)
 第1回 粉々にならない? ももクロ・高城れにが挑む江戸切子
 第2回 「ももクロ長続きのヒント 高城れに、江戸切子に見る

【第1シーズン】佐々木彩夏VS越前漆器(福井県)
【第2シーズン】玉井詩織VS万祝(千葉県)

ももいろクローバーZ
百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏で構成されるアイドルグループ。2008年5月に結成(当時のグループ名は「ももいろクローバー」)。観客数十人の路上ライブからスタートし、わずか6年で国立競技場ライブを実現。大会場のコンサートと並行して、小さな会場でのライブやユニークなイベントなども積極的に企画、ファンを驚かせ、楽しませている。
高城れに
1993年6月21日生まれ。神奈川県出身。2007年、中学2年生のときにスカウトされ、スターダストプロモーション入り。07年、ももいろクローバーの立ち上げ時から参加するグループ最年長。イメージカラーはパープル。愛称は「れにちゃん」。

ももいろトラディショナル
デビュー当時のコンセプトが実は「和をモチーフにしたアイドル」だった彼女たちが、日本の伝統工芸を学ぶ連載。メンバーが伝統工芸の仕事現場を訪れ、作る過程を勉強し、実際にもの作りを体験。さらにその道で頑張っている同世代の若者と夢や目標を語り合うという詰め込みすぎな企画です。

(文 橘川有子/写真 佐藤久/ヘアメイク なかじぃ=kind/企画協力 佐々木健二=ジェイクランプ)

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